良作iPhoneゲームの“見えざる手”

iPhone用の『バイオハザード ディジェネレーション』をクリアしました。いやあ、すんごく面白い! とても800円で売っていいソフトじゃありません。
「敵を倒すより、このドラマ的な所を楽しもうと思いました」とレビューされていたので、ついつい「操作性がよくなくてテンポが悪い?」と裏読みしてしまったんですが、実際にやってみると本当に「もっさり」の間を味わうゲームになっている。

カプコンの初?iPhone用ゲームなんですが、先行した国内メーカーのものを後追いしたというより、海外の『Brother in Arms』(これも700円で買えるのがウソのような傑作!)などを参考にしたみたいですね。

で、これまで何本かiPhone用のゲームをやり込んでみて、デキの良いものの共通点をいくつか考えてみました。

大作シリーズの外伝タイトルもぼちぼち目立ってきましたが、「千円以下だから」「iPhoneだから」ということでミニゲームにしちゃうと、あんまりいい印象を与えませんね。潜入捜査ゲームがモグラ叩きになったら、有り難がるよりもガッカリの方がデカい。

十字パッドもボタンもないから、元のままを再現するのは無理じゃないの? そこを逃げるかどうかで、人気と不人気が分かれるんじゃないでしょうか。

  • ポリゴンが粗くてもいいんじゃね?

ゲームは遊べてナンボですから、「PS3並みのフルポリゴン、だけど動けない」のと「PS1程度のカクカクしたポリゴン、でも歩いたり視点を動かしたりできる」だったら、やっぱり後者を選びますよね。ものすごく止め絵がきれいなiPhoneゲームは、どうも地雷率が高い気がします。

  • 操作のアバウトさと「見えざる手」


iPhoneのタッチ操作は、据え置き機や携帯ゲーム機のような厳密な操作は絶対に無理です。デフォルトの操作機器である「指」はタッチペンよりも太くて視界をさえぎる。傾きセンサーを使えば画面の半分は死角になるし、専用ゲーム機と同じシビアさは求められない。

だったら照準をぶっとく、銃弾も砲弾のようにでっかくして当たりやすくする−−という子供扱いをされて気持ちのいい人はいません。それよりは、照準を小さくしたままで、ターゲットにほんの少し近づける“見えざる手”でそーっとアシストしてやる。そうしてやることで、ユーザーのささやかなプライドを守ってるんじゃないかな。


だいたいにおいて、iPhoneのゲーム専用に作られたわけじゃないシステムと、ゲーム専用機ほどゲームをやる気に満ちあふれてるはずもないプレイヤーとの間にワンクッションを置くのがいいゲーム、といったところでしょうか。「貧弱なハードほどがんばりがいがある」という移植ゲームの伝統が受け継がれているようで、ほんのり温かい気持ちになりました(笑)